夏はどんな着物を選んだらいいのか悩む人も少なくありません。夏用着物については、薄物(うすもの)という着物がおすすめです。ただし、着用するシーンによってはマナーが異なってくるので注意が必要です。そこで本記事では、着物の季節感を大切にしつつ、涼しさと美しさを両立させながら着こなすポイントを解説します。
夏に着る着物について
夏に着る着物については、単衣に仕立てたなかでも、とくに薄くて透け感のある薄物(うすもの)を選ぶことがマナーとされています。また、夏の着物には大きく分けて三種類あります。
夏の着物絽・紗・麻
まず、絽は夏の着物の代表格で、染めの着物の下地の一種です。もじり織(からみ織)という生地に隙間ができる織り方のため、通気性に優れ、透ける感じが特徴です。平織をまぜて織るため 繊細な柄も描けます。
次に、紗です。紗も、生地のあいだに 隙間を作る技法であるもじり織(からみ織)で作られた絹織物です。薄くて張りがあり、通気性に優れています。とくに7月中旬から8月にかけての成夏には、紗の着物が適しています。
最後は、麻です。麻は肌に貼りつきにくく、通気性や吸湿性にも優れています。また、自宅で洗濯できるのも魅力で、肌に張りつかずさらりとした着心地です。これらの素材や特徴を考慮して、夏の着物を選ぶとよいでしょう。
夏の着物を選ぶ際の注意点
夏の着物を選ぶ際には、いくつかの注意点があります。さきほど紹介したように、夏物の着物は薄いので軽さや通気性が魅力ではありますが、薄いがゆえに注意しなければいけないことがあります。そこで、以下に主な注意点を紹介します。
日差しがあたった場合のことを考慮する
まず、薄物の着物は透け感が魅力ですが、透け具合を考慮することが重要です。外出時に日差しがあたると、想像以上に透けてしまうことがあります。そのため、着物の下に着る長襦袢や肌着を選ぶ際には、透けることを踏まえて慎重に選ぶことが大切です。
ジャストサイズを選ぶこと
着物の下に着る長襦袢は、ジャストサイズを選ぶことが重要です。薄物でない場合、着物の下に着る長襦袢は、動いたときに見えないように短めに仕立てます。しかし、薄物の着物の下に短めの長襦袢を着用すると、その部分が透けて見えてしまう可能性があります。
これでは見た目がよくないので、薄物を着るときは長襦袢をジャストサイズで選びましょう。また、長襦袢にはワンピース型の一部式とツーピース型の二部式があります。
薄物の下に着ると、二部式の長襦袢は腰の部分の切り替えがくっきりと分かってしまいます。薄物を着る際には、長襦袢は一部式のものを選ぶようにしましょう。
透ける場合はステテコを!
長襦袢だけではどうしても透けてしまうといった際には、和装用ステテコがおすすめです。ステテコはヒップの部分が透けるのを防ぐため、夏の着物には欠かせないアイテムです。また、ヒップだけでなく足のラインが透けることも防いでくれます。
長襦袢は麻素材がおすすめ
長襦袢の素材としては、麻が入ったものがおすすめです。麻素材の長襦袢は薄くて軽いため、夏の暑い時期でも快適に着られます。また、麻素材は吸汗性にも優れており、速乾性があるため、夏の普段着にピッタリです。さらに、麻素材は自宅で洗濯できるので衛生面からしても適しています。
フォーマルな場ではどうしたらいい?
最後に、フォーマルな場で夏用着物を選ぶ際のポイントについて解説します。まず、フォーマルな場では、絽の着物が適切です。絽の着物は留袖や訪問着、付け下げ、色無地、小紋などとして仕立てられ、上品な印象を与えます。
そのため、結婚式などのフォーマルシーンでも着用が可能です。また、フォーマルな場合では、長襦袢も絽を選びましょう。なお、絽の長襦袢には絽の半衿を合わせる必要があります。白地に白糸の刺繍の入ったものなどを選んで華やかさをプラスしましょう。
着物初心者にはレンタルがおすすめ
着物初心者の人の場合、夏用着物のフォーマルシーンのマナーについて難しく感じることもあるでしょう。知らずに失礼な着方をしていたり、フォーマルにそぐわない着物を選んでしまうリスクがあります。そこで、着物初心者にはレンタルがおすすめです。
着物のフォーマルな装いは、初心者が自力で行うのは難しい場合があります。しかし、レンタルサービスを利用すれば、専門のスタッフがフォーマルシーンに合ったトータルコーディネートを丁寧に行ってくれます。
また、レンタルならば高価な着物を購入する必要がなく、一度限りの特別な場面での着物の着用にも気軽に対応が可能です。さらに、レンタル業者はさまざまな種類やデザインの着物を取り揃えており、そのなかから自分に合ったものを選べます。
着物の着付けやメンテナンスに慣れるまでのあいだ、レンタルを利用することで安心してフォーマルな着物の魅力を楽しめるでしょう。このように、特別なイベントや式典などで、着物を堂々と着こなしたい人には、レンタルが便利でおすすめです。
まとめ
夏に着る着物については、適切な素材やデザインを選ぶことが重要です。とくに、透け感や通気性を考慮して、適切な下着や長襦袢を選ぶことがポイントです。また、フォーマルシーンでは、着物初心者にはレンタルサービスが便利であり、安心して着物を楽しめます。
このように、夏の着物を選ぶ際には、着物の魅力を存分に味わいつつ、独自のマナーを守り楽しむことが大切です。
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