
成人式はもちろん、結納や結婚式のお呼ばれで未婚の女性が着るのが振袖。袖が長く、柄も華やかなものが多く、着物の中でも格式が高いものです。振袖は見た目に華やかですが、実際に着るとなると思った以上にたくさんの小物が必要です。この記事では、振袖の着付けに必要な小物についてご紹介します。
振袖の着付けに必要なものをそろえよう!
着付けに必要なものは名前も聞きなれないものが多いと思いるため、ひとつずつ説明します。
振袖着物・バッグ・ショール
まずは振袖の着物です。袖は長いもので1m以上あるので、着た後は動き方にも気を配りましょう。着物に合うバッグはぞうりとコーディネートされることが多いです。成人式にはふわふわのショールもおなじみです。
足袋(たび)・草履(ぞうり)・ブーツ
足袋は素足に直接履くものなので、足にフィットしてシワや余りがなくなるサイズを選びます。目安は靴のサイズ-0.5cm。新品の足袋や草履は硬いため、一度試し履きしておくとよいでしょう。柔らかくストレッチ性のある足袋を選ぶのもおすすめです。
ブーツ派の方も、思わぬ場所でブーツを脱ぐことになり、振袖に靴下…というミスマッチが起きることも。カラフルな足袋や足袋カバーで足元までコーディネートしましょう。
肌襦袢(はだじゅばん)・長襦袢(ながじゅばん)
着物が直接肌について汚れるのを防ぐアンダーウェアです。振袖を着るときは、下から順に下着、肌襦袢と足袋、長襦袢、振袖、帯の順に着ます。肌襦袢は上下別のものとワンピースタイプのものがあり、外からは見えません。長襦袢は着物の衿や袖口から部分的に見えますので、袖丈は振袖の長さとそろえる必要があります。
半衿(はんえり)・衿芯(えりしん)・伊達衿(だてえり)・重ね衿(かさねえり)
衿まわりは華やかさと美しさで顔周りの印象を大きく左右します。長襦袢には半衿を縫い付けて汚れを防ぎ、その下に衿芯を入れて形をキレイにします。そのうえに伊達衿や重ね衿と呼ばれる色鮮やかな衿を重ねて振袖を着ます。衿部分を重ねることで何枚も着物を着ているような華やかさを増すもので、十二単の名残といわれています。
腰ひも・伊達締め・コーリンベルト(和装ベルト)・補正用品
着物にはボタンやファスナーがないので、固定するのに腰ひもと呼ばれるひもを使います。衿を押さえたり、着物体型に補正するためのタオルや脱脂綿などを押さえたりするのに使います。腰ひもの上から伊達締めという広い布を結んで着崩れるのを防ぎ、衿を美しく保つために両端にクリップがついたコーリンベルトをつけます。
帯板(おびいた)・袋帯(ふくろおび)・三重ひも・帯枕(おびまくら)・帯揚げ(おびあげ)・帯締(おびじめ)
美しい帯には多くの小物が必要です。帯板は身体の前後に1枚ずつ入れて帯の形を美しい形にしてくれます。振袖に合わせる帯は袋帯で、三重ひもを使うとより華やかなアレンジ結びが可能です。
帯枕は帯を支えますが、外から見えないように帯揚げで隠します。帯締めは帯の真ん中で結ぶことでコーディネートを引き締めるのと同時に、華やかさを添えてくれます。
あると便利なグッズ・アイテムは?
振袖の着付けには、最低限必要なものと、あるとよりキレイ、より快適になるグッズがあります。
ノンワイヤー・パッドのないインナー
着付けでは多くのひもや帯で結び、またできるだけ凹凸がない方が美しい仕上がりになります。ワイヤー入りの下着は上から抑えられて痛くなるうえ、ブラジャーで凹凸ができるとタオルや綿で補正する量が増え身体全体が重くなるため、着付け士さんによっては外すようにいわれます。パッドが外せるノンワイヤーのインナーが快適です。パッドが外せるのであればブラトップもOKです。
ばんそうこう
慣れない足袋と草履で指の間が痛い…そんな時は親指と人差し指の間にばんそうこうを貼ると痛みが少し軽減できます。
安全ピン
記念写真を後から見たら、振袖の中から長襦袢が思いっきりはみ出ていた…という経験をする方もいます。動いている間にはみ出しがちになるので、着付け後にちょうどいいところで内側から安全ピンで留めておくと一日ズレずに美しさをキープできます。
着付けに必要なものは早めに用意しよう
振袖を着る日程が決まったら、必要なものは早めに確認して準備しましょう。思わぬトラブルを防ぐことができます。
レンタルの場合の確認ポイント
着物レンタルでは小物までセットになっていることが多いですが、着付けをお願いする着付け士さんによって使うものが異なることもあります。またセットになっているのは最低限のものであり、体型によってひもの本数や補正するための綿やタオルなどの量が変わります。
セットになっているからと安心せずに、必ず事前に着付け士さんに内容を確認しましょう。もし足りないものがあった場合に、専門店でないと売っておらず、ネット通販では当日に間に合わない状況になるので、早めの相談が必要です。
ママ振など自前着物の確認ポイント
最近注目されている「ママ振」のように、家族から着物を受け継いで着る場合も要注意です。着物に汚れや傷みがないか早めにチェックしておきましょう。成人式に着るのであれば、前年の秋や振袖レンタル予約が本格的になる春までには確認しておきたいものです。
晴れた日に風通しのよい日かげに干す「虫干し」など、お手入れをしながら確認します。また振袖を使っていた母親などと身長や体型が大きく異なる場合も、きちんと着られるかどうか身体に合わせておく必要があります。親世代よりも身長が高く、手足が長くなっていることが多いため、丈が足りず残念ながら着られないという方もいます。
自前の小物は劣化に注意!
着物が大丈夫でも、意外に見落としがちなのが自前の小物。ゴム製のベルトはゴムが劣化していないか引っ張って確かめましょう。長年の保管で劣化したベルトやクリップが、着付け中にブチンと壊れてしまうことがあります。ゴムが伸びきっていたり、マジックテープの部分のくっつきが弱かったりすると、きちんと固定できず美しい着付けにはなりません。
また、草履の底の接着剤が劣化していて当日歩いていたら底が剥がれてしまったというトラブルもあります。底が剥がれないか確かめ、剥がれる場合には強力接着剤で圧着して数日間は乾かさなくてはなりません。どうせ一度しか使わないからと不安を感じながら古いものを使うよりも、一度しかない晴れの日だからこそ、新しい物を購入して安心して一日を過ごすのもひとつの方法です。
まとめ
この記事では、振袖の着付けに必要な小物と、あると便利なアイテムをご紹介しました。大切な晴れの日だからこそ、着物や着付け小物は早めにチェックが必要です。着物はふだん着慣れない方が多いので、事前に動画などで歩き方や座り方、車の乗り降り、階段の上り下り、トイレに行くときなどの所作を学んでおくのも役立ちます。大切な日にトラブルがないように、充分に準備して晴れの日に臨みましょう。
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